谷急沢 右俣遡行左俣下降

 たまには丹沢・奥多摩以外も。晩秋に妙義の沢に行ってきました。1日目。
現役企画一本目。天気も良かったので写真多めです。
記:久保 
美しい

3梅宮、L久保 2WH勝木、E曾根田、F幕内




11/2(木)快晴
19:45本郷=R17R1824:10国民宿舎裏妙義P
 
昼過ぎに中津から不参加の連絡(ドタキャン)が入る。本郷へは19時過ぎに着いて、荷物と人を詰め込む。今回は8人乗りミニバンなので座席にも余裕があった。外国要人が来日すると聞いて5日の車返却が間に合うか心配になった。東京を抜けると道も空いてきて順調に下道を走る。R18から外れると一気に道が細くなる。ナビによって田んぼの細道を走らされたり、シカの群れに取り囲まれたりといろいろあったが、無事に国民宿舎に到着。駐車場は40台は止められそうな広さで他に車はいなかった。満月にも関わらず、星空が美しくひんやりした夜だった。

11/3(金)快晴
6:45国民宿舎P7:05深沢橋入渓点7:207:27[末広6m]7:508:02二俣~8:11[倒木4m]8:15風穴沢出合~8:35[柱状節理8m]9:159:30[15m大滝]9:5510:05[10m]10:4110:55大遠見峠~12:03谷急山12:4513:03左俣下降点13:08~たるみ一回~14:24中俣合流~14:45女道へエスケープ~15:00林道までダブル懸垂練習15:5416:17国民宿舎P=松井田駅=国民宿舎P
 
寒い。朝起きると雲一つない青空。登山客の車がぞくぞくと入ってくる。巨大なレスキュー車も来て消防隊が登山者一人ひとりに声をかけていた。入渓点までの林道は車両通行止めなので歩く。深沢橋は標示もありわかりやすい。
 下に降りて沢装をつける。冷え切った空気に息が白い。中木川を渡ってすぐに谷急沢へ。水量は多くないが、釜がたくさん出てくる。濡れたくないので左右からへつりながら進む。
奥に末広6mが見える

 末広6m滝で工作練習。今回はN山行なので、もっぱら2年会の工作練習に充てる。曾根田梅宮で右壁を登って上でTRの用意。幕内は遡行図通り左壁を登ろうとするが、途中で行き詰ってしまい、梅宮にTを出してもらう。登るときは登攀ルートを思い描いてから取り付いて下さい。詰まった時にクライムダウンができるかどうかも大事です。この滝は右からが容易。全く濡れずにへつろうとするとややバランシー。
 黒々した火成岩が美しいナメを作る。そこに赤や黄の落ち葉が映える。気持ちのいい朝だ。二俣は右へ。小滝とナメ、小さな釜がリズムよく続く。右から大きめの風穴沢が出合うとゴルジュが始まる。見上げると燃えるような紅葉が…。34mクラスの滝が続くがどれも容易。
柱状節理8m

 この辺りの山域は柱状節理で有名なようだが、まさにそう呼ぶべき8m滝が出てきた。Lと勝木が右から巻いて流芯右TRで曾根田・幕内を上げる。梅宮は流芯を上がったが、ずぶぬれで寒そう。登ったついでに懸垂でロープが下まで届くかの確認をした。たまに倒木が沢を塞いでいるが、全体的に非常に渓相の良い沢である。明日は初心者も来るので喜んでくれることだろう。

15mの美人滝
15m滝落ち口にて

 15m滝はさらさらと流れる水が光に虹色に輝いていた。おしとやかな美人滝である。平和そのものを絵に描いたようだ。ここは幕内にTRを任せる。左から取り付き上段で右へ移るルートが目に見えている。高度感があるものの、難しいわけではない。振り返って落ち口からの景色も素晴らしい。
10m滝が行く手を阻む

 最後の10m滝はごつごつと不気味。曾根田・幕内が左から登るが上がボロボロでヒヤッとするらしい。梅宮とLは右から登るがとりつきが厄介。曾根田が真ん中TRで勝木を上げる。
 このまま緩やかに細沢が続き、穏やかだなと思っていたのもつかの間、泥沼にはまった。ぐずぐずの泥を足にたんまりつけて大遠見峠に出たのは11時前。沢装を解除するのも面倒になってきたので、そのまま谷急山へ。
裏妙義
表妙義

 さすが妙義とでもいうのだろうか、鎖やFIXロープが多い。沢よりも緊張したと一同口をそろえる。尾根はコナラ属で占められており、すでに落葉して青空が良く見えた。他にクリもたくさん落ちていた。時折、ローソク岩のような象徴的な岩峰がニョキニョキと突き出ており、目新しい景観を楽しんだ。1時間かかって谷急山に着く。3日間の沢の初日からガツガツするつもりはなく、(睡眠不足もあるので)ゆっくり休む。メンバーの頭は夕食のことへ傾き始めたみたい。
浅間山と四阿山
荒船山と八ヶ岳(奥に北岳・甲斐駒)

山頂は期待通りの大展望で隅々の山が見えた。正面に浅間山が大きくて立派だ。奥に冠雪した北アルプスが白く輝いている。八ヶ岳や奥秩父はもちろん、谷川や巻機、平ヶ岳方面も良く見えた。
 後から来た登山客ともいろいろ話をして、頃合いをみて下山。左俣下降点は赤ペンキの樹木が目印(というより、ここ以外は急峻すぎて降りられないのですぐわかる)。落ち葉が深く積もった斜面を下る。…が、いくら下っても水が出てこない。時々、落とし穴があって、腰辺りまで落ち葉にはまったりと大変だ。左俣遡行はしたくないな。巨岩が出てくると、水が流れるようになる。基本的にナメをペタペタと歩く感じで、滝は全く出てこない。沢ハイクといった様子だ。これじゃ懸垂下降の練習にならない…。沢自体は右俣と違い広く浅い釜が至る所にあり美しかった。
左俣はナメが多い
美しい釜も多い

 最後のゴルジュに入る手前、女道と交わるところで進退を考える。このまま下降を続けても時間的には間に合いそうだが、もしもの時のことを考えて(悔しいが)エスケープ。
 20分ほどで林道に出てしまうので、斜面でダブル懸垂の練習をした。うまい具合に50mの下降で林道に到達。藪抜けならぬ沢抜けのような格好で本日の山行を終えた。
 国民宿舎に着くとレスキュー車が何台も集まって、救急隊もたくさんいた。無線で連絡を取り合っていた。隊長と呼ばれる人はノリが良く、いろいろしゃべりに来た。
 食材を調達するため、松井田のAコープへ向かう。うまい具合に電車で来た1年の黒瀬を拾えた。大玉の白菜や上州赤卵など張り切って買う。2年会に調理を任せて、黒瀬の下界訓練。よく覚えており、間違いなくこなせた。夜はご飯の量も増やして盛大にすき焼きを作った。


まとめ
 11月でも行ける奥多摩丹沢以外の沢を探していたらたどり着いた。火成岩でできた美しい沢。晩秋によく似合う。谷急山も静かでいい山だった。なお、谷急沢はワンゲルでは24年ぶりである。この辺りの枝沢を探検するのも楽しそうだと思った。


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