GW沢L養成 逆川・塩地谷・鷹ノ巣谷

 記: 三宅
面子 3,4日: OB1*松崎 3<被>E鈴木 *W松岸 L三宅 2<被>FH廣長 1初大西 初中村
   5日:  4*桑原 3<被>鈴木 L三宅 2NEW豊島 <被>FH廣長


GWなので面白い所に行こう!と意気込んだが、「真面目に養成しなさい」とお叱りをうけ、結局いつもの日原に。それでもあまり行かれない塩地谷に行けてよかった。1年生は楽しんでくれたろうか…?


5/2(木)晴
2300 奥多摩駅    ~    2345 川乗橋
 審議のときに今週使う高度計が足りないという話になり、沢の分はギアマスター水野にお願いして 1 つ 買ってもらった。これで一安心かと思いきや、今度は先週 3 つあったはずのツェルトが 1 つ見当たらない。 部室を探したのと返却が入れ違いになったのだろうか。とりあえず豊島に確保しておいてもらった駒場の フライをリーチすることにする。初心者は 2 人とも新人であったが、それでも廣長は初心者装とその他の 装備の面倒をよく見てくれていた。奥多摩駅から 1 時間ほど歩いて川乗橋に到着し、下界訓練。既に 2 回 目の中村は、比較的スムーズにできていた。大西はやはり Fix 通過に苦戦。難しいよな...。
 

5/3(金)晴 – 逆川(遡行図『奥多摩の谷』)
0415 川乗橋    ~    0435 入渓点(沢装装着)0500    ~    0529<F1>0611    ~    07204m 釜滝(20 分タル ミ)0820    ~    11006<F6>10m 大滝(=ウスバ林道・15 分タルミ)1140    ~    12158m 下(偵察・下降 開始)1245    ~    1300 ウスバ林道(少し先で沢装解除)1320    ~    1336 ウスバ乗越    ~    1520 入渓点

  かなり寒い。シュラフから出るのが億劫だったが、1 年会も遅れることなく出発までにデポを作ってく れた。松岸は膝に疲れがたまっているそうで、テーピング処置をしていた。高速林道歩きのおかげで体も 温まったところで、明るくなるのをやや待ち入渓。昨年と同じくカーブミラー先の沢状を降る。昨年この 直下は激流で渡渉することが不可能だったのが、今日はチャプチャプ渡れる。この先も水流中を行けるの で、昨年とはまったく様子が異なっていた。
  F1 で始めて工作。明瞭な右巻を見た鈴木が Fix 開始点まで TR で上げてしまう方針をとった。廣長と L は先に左を巻ききり、終了点から Fix を張りながら戻る。ここまで完璧な流れだったが、廣長が Fix ルー トを間違えたり、開始点の支点取りが遅かったりで、結局あまり速い工作とはならなかった。

 いったんゴルジュを抜け、続く巨岩帯はいろんな登り方で乗り越えることができてとても楽しい。10m ナメやナメ小滝は、ナメか?という感じ。枝沢を分けて再びゴルジュへ。最初の小滝は左をスリング手が かりで巻く。そしてゴルジュの出口に待ち構える 4m 釜滝。今回は取り付き付近でも足がつく程度の水深 だ。二人とも直登を見る。巻きはどう見ても確保できないので仕方ない。このとき二人同時に行ったせい で、廣長が登りきるまでの数分間、鈴木は無駄に釜に浸かってしまい、ひどく消耗した様子だった。2 本 目のザイルで手がかりを出すために、鈴木には巻いてもらおうとするが、巻きもホールドが遠く難しそう なので、鈴木のザイルは松岸に上げてもらって、ようやく TR 手がかりの工作が完成。
  鈴木はその後も狂ったように流心をアタックし続けた。しかし首まで浸かる冷水の中で体力は消耗する 一方。もう限界っぽいので、とりあえず初心者が上がるまでは下で休んでもらうことにした。初心者 2 人 を通し、最後に鈴木も何とか突破に成功。無事核心を通過。真っ先に巻いた松崎さんが上で焚き火を用意 してくれていたので、長タルミで鈴木の回復を待った。ようやく日も差してきて、暖かい。大西が登攀中 に時計を落としてしまったようだ。タルミ場辺りをくまなく探したが見つからなかったので、残念ながら 深い釜の中だろう。諦めて出発することにする。
 出発してしばらく、ER にとろうか迷った山道が見えたが、下部は崩壊していて使えなさそうであった。 F2 は上段だけ TR(廣長)で確保し、F3 は右壁を TR(鈴木)。続く F4-5 は下段が L、上段が廣長の 2 段 TR。いずれもコンパクトで楽しい滝だし、確保も難しくない。F5 上の小滝で鈴木が巻道にスリング手が かりを出した。間もなく F6 の落ち口が見えてくる。


 F6 の印象は昨年とガラッと違う。岩肌や苔の緑が目立ち、全面がしぶきで白く染まっていた昨年とはま るで別の滝だ。これなら右壁のルートが容易に見てとれる。さっそく廣長が取り付き、直登した。かなり 高度感があるものの、ホールドスタンスは豊富なようなので、初心者も TR 確保で直登させることにする。 2 人とも 3 級の登攀を楽しめたようだった。この位の流量なら、リード訓練ができる滝だ。
 タルミながら方針について話し合う。圧倒的に不人気な川乗山は省くとして、あとは完遂することにな ったので、ウスバ林道はスルーして遡行続行。3m 滝でスリング手がかりを出した後、ワサビ田から注がれ る流れを左に見て、本筋を遡行する。すぐに二股になるに違いないと思っていたら、遡行図には無い 10m 弱の滝が現れた。
 どうもおかしい。この滝を見て遡行図に書かないのは不自然だし、ということは遡行図のルートを外している。しかし角 度を切ってみても地形図上ではルートを外していない。もう一つの遡行図『東京周辺』と見比べる。そこ には 8m 滝が記されている。考えられるのは、上下の遡行図のルートが違い、二股の位置がずれているこ と。さらに地形図のルートが『東京周辺』のものだということ。これを確かめるために、松崎さんと L と でザイルを持って少し伸びてみると、なるほど 10 分ほどで二股についた。『奥多摩の谷』の最後の分岐 は、『東京周辺』の「二股」ではなく、「ワサビ田跡」に記された細い流れだったのだ。
 結局、完遂記録が無いために予備審で代々誤った遡行図の対応が受け継がれたのだろう。今後完遂を考 えるときは、どちらの遡行図を用いるかでルートが異なることに注意したい。
 スッキリしたところで少し引き返して『奥多摩の谷』のルートに乗ろうと思って本隊に戻ると、松岸の 膝がよくないらしい。疲れが違和感となって出てきたようだ。無理しないように、ウスバ林道から引き返 すことにする。
 ウスバ林道では昨年迷ったので今年は一層注意したのだが、またも変な急斜面に出てしまった。トップ を散開させたりしてかなりイモったが、結局のところ地形図どおりのルートが唯一行けそうで、白ペンキ も続いていたので、そこを慎重に下った。昨年行き着いたルートは、おそらく 840 あたりから南西に伸び る黄色ペンキ沿いのルートだったのだろう。相当時間がかかってしまったが、何とか川乗橋に到着。何人 かのデポにゴミが入れられていて萎えた。まあデポ自体がゴミの投棄に見える気持ちも分からなくないが。
 倉沢橋までは歩いて 30 分ほどだろうか。夕食はカレー。サイト中から鈴木は居眠りをこき、動いたと 思ったら足をつって顔をしかめていた。そんなことを黙々と繰り返している鈴木を見て、皆「明日も頑張 ろう」と思うのであった。
 

5/4(土)晴ときどき小雨 – 塩地谷(遡行図『奥多摩の谷』)
0400 倉沢橋    ~    0430 魚留橋    ~    0436 地蔵橋(沢装装着)0500    ~    0940 橋(タルミ)0955    ~ 10558m1140    ~    1420 一杯水(沢装解除)1437    ~    1550 魚留橋    ~    1630 倉沢橋

  もう三四の季節になってしまったのか。朝食はラーメン餅。廣長の献立にやる気が感じられない。魚留 橋は壊れかかっていて、立入禁止のロープが張ってあり、またその先の地蔵橋も手前の林道が崩れている。 どこから入渓しようか迷うが、地蔵橋の先から歩いて下れそうだ。その後途中からはクライムダウンが難 しいので、懸垂(鈴木)。トップ二人は何度も同じところを見てはウロウロ...という様子だったが、クライ ムダウンできなさそうならもっと早く懸垂をセットすればいいのに。
 しばらくゴーロ歩きを楽しんで、地蔵滝につく。細い落ち口から大量の水を釜に落とす豪快な滝だ。両 岸を大きな岩に守られていて、この岩ごと巻かないといけない。右岸の踏み跡をたどって 100m 弱登りつ づけ、TR3 回で上げきってしまうと、整った明るい仕事道につく。1 年会と松崎さんは朝の日向ぼっこを 楽しんでいた。巨岩を巻いた所から懸垂のセットに入り、再び薄暗いゴルジュの中へ。先ほどの TR が 2 回で足りた所を 3 回やってしまったこと、鈴木の懸垂の支点取りをやり直したことがあって、やや遅い高 巻き工作となった。
 廣長が直登を工作しようとしたゴルジュの小滝は右岸の巻道を行く。しばらくすると 6m ハングに到着。 ここだけ日が差し込むゴルジュの構造になっていて、水しぶきに虹がかかる気持ちいい所だ。鈴木が直登 を見る間に廣長と松岸は手前の枝沢から巻いて、上から TR 手がかりの工作。L が右のチムニーから巨岩上 に出て、あとはゴボウで突破。初心者も同様に通した。
 次の 5m を左巻きで手がかり Fix(鈴木)し、橋に到着。タルミながら松岸の足の様子を尋ねる。悪化は していないがやはり気持ち悪いので今日で下山することに決まった。ここで全日参加の予定であった大西 も体力に不安があるというので、今日下山したいと申し出た。結構きつかっただろうか...。  続く小滝でザイル手がかりとスリング手がかりをだし、小ガッコー沢の直後のゴルジュ帯は右岸を TR で上げた後、まとめて左の巻き道を行った。ここのゴルジュ内の滝々は直登がどれも面白い。特に突っ張 りで越える 4m ナメ状は急峻なウォータースライダーが楽しめて二度おいしい。

 8m 滝は越えられないので 2 人とも左巻きを見る。岩を登って Fix 開始点まで廣長が TR で上げる。ここ の Fix はルートが明瞭だが出だしの岩をトラバースするのが怖いので、ここでスリング手がかりを出した。 早いしいい工作だったと思う。その後の滝は平凡で、2 箇所 TR 確保をした。
 完全に水涸れし、しばらく歩いても 5m 二条が現れる気配が無いので、ルートがあっているのか不安に なる。裏の遡行図を見てもしっくり来ず、「東京起点 120 も見たいなあ」と話していると、なんと丁寧に ziplock に入った東京起点 120 のコピーが岩に置いてあるではないか。参考にしてもよく分からなかっ たが、多分そろそろ現れるんだろ。
 しばらくして 5m 二条が現れ、最後の工作を行う。下段はホールドスタンス指示でフリー。ここは何か 出した方がいい所だった。上段は左を TR(廣長)。まもなくガレた詰めになり、かなり歩いた所で登山道 とぶつかる一杯水。沢装を解除し、魚留橋まで下る。倉沢橋で装備の受け渡しなどを行い終えると、ちょ うど東日原行きのバスが到着し、鈴木、廣長、L の 3 人はこれに飛び乗った。ここで前半組とはお別れ。
 日原の住人と世間話をしたり、駄菓子屋でアイスを食べたりしたあとサイト場を探す。日が傾き始めた ころ、巳ノ戸橋下の河原で寂しい夕食。ニンジャガ玉 3 個ずつとウインナー 36 本が入ったポトフ、米 5 合を 3 人で平らげるというメシトレ。食事の途中で合流した桑原さんと豊島にも少し分けてあげる。とい うか食べてもらう。食後は焚き火。鈴木が「疲れてない?」と聞かれて「あと 2 日とか余裕ですわ(笑)」 みたいなことを言っていた。皆これを聞いて「明日も頑張ろう」と思うのであった。
 

5/5(日)晴 - 鷹ノ巣谷(遡行図『東京周辺』)
0450 入渓点    ~    0600 くの字滝 0637    ~    0735 大滝下~リード訓練(たるみ 20 分)    ~    1015 大滝 上(下降開始)    ~    1205 くの字滝 1225    ~    1350 入渓点 

 朝食は白玉うどんとカレーうどん専用のルウを使ったカレーうどん餅。5 人で麺 7 玉、餅 12 個と昨夜に 続きメシトレ状態だが、美味しくいただいた。日原川を少し下って鷹ノ巣谷出合へ。初心者役は桑原さん と豊島に適宜交代しながらやってもらう。最初の 4m7m はまとめて簡単な右巻きの踏み跡をつかう。はじ めの所で手がかりを出した(鈴木)。しばらく堰堤が続き、どれも巻きながら進む。北向きの暗いゴーロは おそろしく平凡な渓相だ。
 5m 滝は右壁を TR(鈴木)、堰堤で右を TR(廣長)、小滝の右巻きでスリング手がかりをそれぞれ出し、 あっという間にくの字滝に到着。くの字滝は 3 段をなしており、最上部からザイル 1 本で手がかり、手が かり、TR。いずれも水流の右側が簡単だ。続く 2 段 6m は鈴木がまとめて水流右を TR しようとしたが、通 したルートが悪く、桑原さんが流心に引き込まれる向きに力がかかってしまっていた。その上の 5m 滝を TR 手がかり確保で越えたら、大滝が現れる。下でタルミ。豊島が先ほどの滝で突き指をしてしまったそう だ。リード訓練の後はすぐ下降するので、リード訓練の間は待ってもらうことにする。豊島が参加できな いとすると明日は 4 人かぁーと少し萎える。

 緑に囲まれた豪快な大滝は、とても爽やかだ。右壁にはホールドスタンスが豊富で、早く登りたい。し かし焦らずリード訓練。ビレイヤ鈴木、クライマ廣長としてやってもらう。何も言わずに見ていると、2 人ともどこか覚束ない手つきである。2,3 のミスを指摘したが、すべて養成メモに載っている初歩的な事 項なので、よく復習をしておくこと。登り始めるまでの準備にかなり時間がかかってしまったが、登り始 めてからは廣長のハーケン打ちが遅いくらいで、ミスは無かった。
 リード訓練終了後、大滝上で懸垂の準備をしていると、どうも廣長も体調がよくないらしく、今日で下 山したいという。となると明日は鈴木、桑原さん、L の 3 人...。行こうかどうかしばらく迷ったが、さすが に帰ることにする。帰ると知って鈴木がニヤッとした。
 下降は豊島の怪我を考慮した工作を行わせる。5m は懸垂(廣長)、2 段 6m はスリング手がかりで上げた 所から懸垂(鈴木)、くの字滝は上段を懸垂(廣長)したあと、手がかりを出そうかと悩む所だが、豊島は手 がかりも使いにくいかと思い、小さな下部はすべり台で釜に降りてもらう。その下の 5m は念のため手が かり(廣長)を出し、そのあとは何もなく日原川に降りた。
 デポ地では若い男女の集団が BBQ を楽しんでいた。広い河原だったのに、なぜデポの正面を選んだのか が不思議でならない。デポを回収してバス停に着くと丁度よくバスが来た。奥多摩でこれまた丁度よく来 たホリデー快速に乗って、立川で打ち上げして解散。
 

まとめ 
 逆川: 水量によって難易度が大きく変わる。通常時であれば大滝はリード訓練にうってつけと言えるだ ろう。今後完遂を目指す場合は上述した上部の遡行図の対応に注意して欲しい。また下山路の RF は、黄 色ペンキを忠実にたどるのがよいと思う。
 塩地谷: コンパクトゴルジュの渓相がとても気に入った。工作も決して少なく無いので、養成に向いて いるのではないか。今後も出すといいと思う。難しい工作が無いので序盤向きか。
 鷹ノ巣谷: あまり見どころの無い谷だった。ただ大滝はとても迫力があり、適度な難易度の登攀を楽し むことができるし、充実したリード訓練が行える。今回のように序盤をサクサク進めたら、リード訓練後 に完遂することも可能だろう。

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