残雪企画 早池峰山

2009年度山行No.39 残雪 早池峰山
企画者:鈴木
面子:OB1木村 3L大城 高橋 広瀬 2sL鈴木 WH三谷 1EF蓜島
日程:2010/3/16-17

三月合宿の接続として、ワンゲルでは冬季初トレースとなる早池峰を選んだ。末端の不備や、ピークハントに執着しすぎて公然と準則を破るなど、自分の未熟さを痛感する山行になってしまった。



3/15晴れ→曇り→雨
三月合宿下山=盛岡=平津戸▲0
松川温泉に下山後、自分三谷さん木村さんのデポ回収隊はタクシーで安比へ、本隊はバスで盛岡へ。結構ギリギリだったが、無駄なく移動することができた。バイキングとカラオケで盛大に打ち上げ(兼暇つぶし)した。
携帯から予想天気図をみると、16日は二つ玉通過後に冬型、17日は弱めの冬型という予報だったので、明日はアイオン沢より先には行かないことにして(したがって急ぐ必要がなくなったので、タクシーは呼ばなかった)、入山連絡を入れてから終電で平津戸へ移動。
ちなみに3月合宿でエキボのリチウム電池を消費していたが、新しいのが盛岡で見つからなかったので、接続不参加者のビーコンを予備ビーコンとしてボッカすることにした。
で、 平津戸に着いたわけだが、思った以上にさびれた駅で、狭い待合室しかない。トイレすらないし水もくめない(安比での件を教訓にして盛岡で汲んでおいた が)。しかも雨が降ってきたので、テントを一つ張ることにした。さらに困ったことに、携帯の電波が入らない。(公衆電話もない)大城さんと一緒に少し歩き まわってみたが、もう夜も遅いし、電話を借りようにも人がいるのかどうかすら分からない。とりあえず、明日の朝国道で電波の入るポイントを探しつつ、それ が無理だったなら民家のある門馬集落を末端にすることにして、就寝。
じゃんけんに勝利した自分と配島は待合室で寝たが、蛾が沢山いて落ち着かなかった。
テント組は雨にぬれて寒かったらしい。

3/16雨→晴れ→曇り→雪
平津戸駅9:00=(タクシー)=9:10林道分岐9:40〜(たるみ1回)〜9:53門馬登山口〜(たるみ1回)〜12:26アイオン沢出合上▲1
朝起きると、激しく雨が降っていたのでとりあえず出発を延期。ダウンロードしていた天気図だと9時過ぎに寒冷前線がちょうど日本を横切っていたので、この影響かと思われる。
ザバザバに濡れたテントをたたんで、皆で待合室にこもってしばらく待っていたが、全然雨がやまないので次第に憂鬱になり、雨がやむのを待ちつつウノをやり始めた。雨がやんだとしてもトラーゲン1時間が待っているので皆テンションが低い。
ちなみに駅に置いてあったノートによると、以前はもう少し立派な駅舎があったが、2007年ごろに建て替えられたようだ。
こ のとき三谷さんは散歩をしていたのだが、東に数分歩いたところに集落と煙草屋があるのを見つけてくれた。電話があるので末端は平津戸で問題ないだろうとい うことにし、タクシーを呼んでもらって除雪区間はワープすることにした。厚かましい気がしたので止めておいたが、本来は塚田さんにも電話しておくべきだっ た。
ちなみにドコモの携帯なら、中継局があるので一応使えるらしい(が大城さんのドコモ携帯は当然のように圏外だった)。
というわけで小型タクシー2台にスキーとザックを詰め込んで出発。やはり林道分岐のあたりで除雪が終わっていたので、そこで下車。この日はビーコンは切っていてよいと指示した。
歩き出してしばらくは所々で雪が途切れていたが、基本的には特に何事もなく植林帯の中の林道を歩いていく。晴れているうえに、雪解けと雨で増水した御山川の水音が聞こえてきて、まるでGW残雪のような雰囲気である。
闇隅沢橋を渡ったあたりから再び雲が出てきたが、あっという間にサイト場に到着。
ちなみに林道上では、沢筋からいくらでも水がくめた。
昨 晩の雨でぬれたテントを乾したり、薪を集めたり、暇をつぶしてからサイト。夕飯はレトルトカレー。皆が持参したカレーは当たり外れが激しく、暇つぶしの間 に大富豪をして、まずランダムに1食とる→勝った人から順番に1食選ぶという方式でシャッフルをした。高橋さん持参のレッドカレーを当てた木村さんは本来 取り除くべきスパイス類も食べてしまい、あまりの辛さに汗をダラダラと流しながらマットに横たわっていた。ちなみに三谷さんもレッドカレーを当てたが、 しっかりスパイスをのけていたらしい。自分は中村屋とキーマカレーを当てた勝ち組だった。
日暮れまで焚火をして、宴会をして、就寝。ちなみにアイオン沢で水がくめたので水作りはしなかった。

3/17曇り→ガス→曇り
▲15:40〜 6:33たるみ弱テ7:00〜(弱テ)〜8:00たるみ弱テ8:30〜9:10大崩壊地帯上部〜9:28たるみ9:38〜10:30たるみ10:40〜 11:30撤退@1800mくらい?〜12:00たるみ12:15〜13:05サイト場13:50〜14:10門馬登山口〜14:50林道分岐 15:05〜16:10平津戸駅
45半。テルモス用の水を汲み忘れていたが、帰りにも汲めるので問題ない。初めのピッチは予備審議の地図通りにア イオン沢右岸の尾根を登っていく。次第に藪が激しくなってきて沢筋を登りたくなってきたので、弱テを兼ねてたるみ。この時の弱テでは、沢床から遠いほうか ら順に、「手首25」「手首60」「ひじ80」という結果だった。沢は吹きだまりなので深さは一定しないが、きめの粗い雪でできた結構な厚みの弱層がある ようだ。この結果を見る限りでは前方に見えている大崩壊地帯を直登するのは無理そうだが、他に良いルートがあるかもしれないのとりあえず前進する。
このあたりから急登が予想されたのでクトーを装着したが、自分がサイト場にクトーを忘れてきていたことが発覚。
沢床からは左岸にある林道終点の看板が見えており、その上部は樹林が続いているので、その際のあたりを進めそうである。沢を横切ってから疎林をつないで林道終点に上がる。
そこからどのようにルートを取るかで少し議論になる。

〜〜〜〜〜内容〜〜〜〜〜
自分と高橋さんは慎重であり、とくに高橋さんは、八幡平の雪崩も鑑みると手首で出た時点で厳しいのでは?という意見だった。
一方、その他の上級生は割と雪崩の心配は少ないという意見で、たとえば大城さんは、そこそこ起伏がはっきりした地形であるし尾根状を行けば雪崩に巻き込まれる可能性はないのでは?ということを言っていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

地形としては、右から順に濃い樹林〜疎林、岩〜無木立急斜面(大崩壊地帯)という感じである。
○濃い樹林:雪崩の心配はないが下りに使う場合読み替えが必要そう
○疎林〜無木立:結構急だが雪崩の危険があるか?どの程度樹林にべったり沿って行くか?
という状況であった。要は疎林を使えるかが焦点となったわけだが、自分は弱テをすることで安全性を保証しておこうと思った。
と りあえずトップを濃い樹林に延ばし、そのあいだに自分木村さん大城さんで弱テをしてみる(1個だけ)。肩50。これくらいなら許容範囲だろうということで 弱テをした三人は疎林地帯を直登して合流。たるみ。ここで高橋さんたちに弱テ結果を示したところ、1個の弱テだけを判断基準にするのは不安が残ると言われ たので、たるみ後に再び弱テ×4。このへんの隊運営はかなりイモかったと思う。少なくとも弱テはもっと簡潔に済ませるべきだった。
で、弱テの結果としては40〜60のあたりに強さは一定しないものの弱層があることが確認されたので、なるべく樹林帯の近くをとることにした。結局疎林がわりと広かったこともあって、読み替えはしなかった。
や はりこの辺から限界のあたりまではかなりな急登で、皆苦戦している。大城さんがクライミングサポートを最大にしていたら滑落し、真下にいた木村さんのク トーを吹きとばしてしまったりしていた。(このとき木村さんのクトーが片方使えなくなったが、クトーのない自分も特に問題なく登れているのでそのまま進ん だ)急登が苦手な高橋さんがかなり遅れ気味なのにトップはあまり後ろを見ずに強引なルート取りをしていた。
ちなみにMax前進リミットは 10:35で、この時点で結構厳しかったのだが、予備日を使う可能性を残せば帰幕目安(13:35)までリミットが伸びる。しかし皆できれば予備日を使い たくはなさそうだったので、前進リミットから90分の余裕を削った12:05(読み通りならギリギリその日のうちに帰れる)をピークアタックのリミットに することにした。
山頂付近は雲に覆われている(ちなみに雲に突入する前は展望も割と良く、下のほうでは日が差していた)。ピークと1522pをつ なぐ尾根に乗ったあたりからガスが濃くなりはじめ、竹竿をベタ打ちしながら進む。この辺ですでに視界は200mなかったと思う。大城さんにも「鈴木が撤退 と言えば間違いなく撤退だろうね」と言われたが、岩が結構露出しているしピークは打ちたいしで、ときどき立ち止まったりしつつもぐだぐだと進み続ける。結 局、1800mあたりで竹竿が無くなってしまい、撤退することになった。
下りでは三谷さんが角度を切り間違えて一度だけ竹竿を見失ったが、それ以外は何事もなく下る。潅木が出ていて滑りにくいが、尾根を外れたあたりからは楽しめた。
大崩壊地帯は登りで使った疎林をたどった。林道終点からは林道を下りたいところだったが、ルートからかなり外れるので泣く泣く薮沢(アイオン沢の左岸にある枝沢)を滑降して、サイト場に到着。全体にかなり急な滑降だったが、皆楽しんでくれたようだ。
本ザックを作って最後の滑降。思わず歓声を上げてしまうほどのスピードで林道を一気に下る。が、門馬登山口のあたりからは平坦でスケーティング。結構疲れた。
林道分岐から平津戸駅まではトラーゲンで一時間ほどの歩き。
山田線に乗って盛岡に移動し、下山連絡を入れて焼き肉屋で打ち上げ。三谷さんは新幹線でその日のうちに帰り、残りはカラオケで一晩明かしてから帰った。
充実した一週間だった。

まとめ
早池峰は冬季初トレースということで結構緊張して臨んだが、末端の不備(これは正直auのせいである)や大崩壊地帯でのルート取りなど、情報量の少なさによ る苦労は多かった。しかし、山頂付近から林道に至る長い滑降や、平津戸駅周辺の物悲しい雰囲気、山の奥深さなど大変魅力的であり、ワンゲルで見過ごされて きたのが不思議に感じた。今後もこのあたりで合宿が出た時などに接続で行ってみてほしい。
ただし、さほど強くない冬型でもピーク付近はすぐガスってしまうようなので、幸運に恵まれないと登頂はワンゲル的には厳しいと思う。

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