個人山行 魚野川仙ノ倉谷西ゼン


メンバー:OB2大城(単独)
遡行図:上信越の谷105ルート

2スラブの登攀に多少の不安を持って臨んだが、果たして…。

 9/1()
東京=(JR)=20:53土樽21:1022:05林道終点
 明日は関東全般に天候が悪そうだが、日本海側はまずまずだということで新潟側の沢を選択した。土樽駅で降りるが初めてだったため出口が分からず(汗)、待合室にいた他のパーティに出口を聞くことになってしまった。ちなみにこのグループは一橋大WVで、関西のWVと合同の登山研修に来ているとのこと。明日は万太郎本谷に入るらしい。お気をつけて。駅前の登山ポストに登山届を提出して出発しようとすると、暗いこともあってどう目的の道路に出ればいいか分からず(冷汗)、しばらく右往左往してようやく駅を脱出する事が出来た。毛渡沢にかかる橋までは県道を歩き、橋からは林道をゆるやかに登っていく。今日はきれいな満月が出ていて、ヘッドランプが無くても歩けるくらいに明るい。日中の暑さも流石にこの時刻になると収まり、快適に歩くことが出来る。車止めを過ぎ林道終点に近づいてそろそろ幕営地を探そうかと思っていると、林道脇のスペースに車が一台留まっている。そしてその横で年配のご夫婦がランタンの明かりを囲んで談笑していた(あれ、さっきの車止めは!?)。ご挨拶をして西ゼンを遡行される予定なのか聞くと、「今日は釣りをしにやって来た」とのこと。ここで2つほど情報をいただく。まず群大仙ノ倉山荘前の吊り橋は現在無くなっているが、その代わり舗装路と立派な橋が出来ているということ。地図で吊り橋と書かれた地点のやや上流側に当たる。その先の道標で地図上の登山道に入れるらしい。それから渇水について。昨日平標新道を奥まで入ったらしいが、寡雨のため入渓点で水が枯れてしまっているという事(こちらは翌朝誤りと判明)。えーっ、まさかそんな事がと思いつつ、もし枯れていても伏流しているだけだろうと祈る。というわけで、今日は新しくできた橋の右岸上流側のスペースにツェルトを張って寝ることにした。夜は風がやや強く一度俄雨もあった。

9/2()晴れのち雨
林道終点5:105:28ノボリカケ沢―5:42入渓点5:527:10第1スラブ下7:20―(途中計15分くらいタルミ)―8:402スラブ上―9:53登山道―(途中10分タルミ)―11:00松手山11:10―(途中10分着替え)―12:00平標登山口バス停
 風が強く、ツェルトを押さえていた石が飛ばされて頭に直撃したりしたこともあり、あまり眠れなかった。ただ天気は良く朝は快晴に近い。5時過ぎに出発し、平標新道に続く登山道を歩く。あまり良い道ではなく、ところどころ左右から藪が被さっている。途中仙ノ倉谷右岸からノボリカケ沢が出合うが完全にガレ沢。入渓点(ダイコンオロシ沢)に着くと普通に水が流れていたので、きっと昨日の方はノボリカケ沢と勘違いされたのだろう。出合は貧相という記述も見かけたが普通に良さそうな印象。早速入渓する。はじめ30分ほどは平凡で時折小滝を交える程度だが、視線を上げると岩々した上越国境の稜線が望まれて気分はいい。右岸からイイ沢を合わせて少し行くと沢の様相が一変。いままでゴーロ帯だったのがスラブ一色に変わる。東ゼン出合手前の6mを左から越すと、その景観はこれぞ西ゼンと言えるもの。見事なスラブによって構成された谷が遥か奥まで続く。また東ゼンの奥にもその滝群が遠望できる。25mナメ状滝で写真をたくさん撮った後、できるだけ水流に近づいて登ろうとするがツルツルで断念。結局右の登りやすそうなところを選んで問題なく越える。
入渓点(ロープの部分が登山道渡渉点)

スラブ現る
東ゼン手前6m滝と奥の25mナメ状滝

20mナメ滝
 続くナメ帯も乾いた所を選んで快適に越え、6mチムニー滝(「チムニー」という感じではなかった)は左から巻くように登る。どこが第1スラブの始まりなのかがイマイチ不明だが、それっぽい雰囲気になってようやくそこに入ったのだと分かる感じ。最初はスラブの左側を登って途中から右側に移る。おそらくルートは無数に存在する。変なところに突っ込むと詰まるのかもしれないが、ちゃんとしたルートをとっていれば全く困難な箇所はない。そうこうしているうちに第一スラブはあっさり通過。このあと6m()で片方だけのスキー板を発見!持ち主はどう下山したのだろうか。ここは右から巻いたが上部が結構急で微妙な感じだった。滝上から見ると、巻くなら左からの方がスマートな印象である。直登もできたかもしれない。第2スラブ入り口の滝(15m2段?)は左から登って上部は巻く感じで越す。さて、この後はいよいよクライマックスの第2スラブ。スケール感抜群で自然不思議さを感じずにいられない見事な景観だ。ここからでは上部は詳しく確認できないが、それなりに立っている模様。考えても仕方ないのでとりあえず登っていく。最初はやはり左側を登る。段々になっているので簡単に登っていける。途中から右側に移り、水流から離れた所をジグザグに進む。特に恐怖感はなく大変快適。そのあとまた水流に近づき沢幅が狭まったところで第2スラブを終える…ん?終わりましたけど。どこが核心やったん??というか第1スラブよりさらに簡単だった気がするのだが。自分の三半規管狂っているのかな。第2スラブ帯上の3m6mも記憶に残っていないくらいに容易。
第1スラブ開始

第1スラブ登攀中
第一スラブ上部から (立体視が出来ます [交差法] )

第2スラブ開始

第2スラブ登攀中

第2スラブ上部から (立体視ができます [交差法] )
 さて、遡行図ではこの後右岸から2本の沢が入っており、どちらも右にルートを取ることになっているが、ある遡行記録で「1:1二俣で左にルートを取れば藪漕ぎ無しで稜線まで出られる」という記述を見かけたことと、多少登山道歩きが長くなるものの正規ルートだと40分ほどの藪漕ぎになるらしい事から、今回は迷わず左のルートを取る。だが…。最初はまあ良かったものの徐々に左右から笹が被さるようになり、「うん、でもまだ水流あるしそのうち開けて来るだろう」と自分に言い聞かせてそのまま遡上していくが、一向に状況は好転せずさらに水流は細くなりしまいには藪だけになってしまった。しかもそれなりに濃い。他の記録から推測するとおそらく正規ルートより濃い。仕方なく一人黙々と藪を漕いで、最後に現れた申し訳程度の草原もどきを辿って上越国境の登山道に出た。参考にした記録では非常に快適そうな詰めの写真が載っていたのでどこかにルートがあるはずだが結局分からずじまい。自分が入った左俣の前後にも枝沢があるようなので、もしかしたら1本沢筋を間違えたのかもしれない。次に企画する人がいたら是非その快適ルートを見つけてください。

トリカブト
 沢中では基本的に好天であったが、藪漕ぎになるあたりからガスってきて稜線に出た時には群馬側から吹き付ける風雨で視界は殆どなし。そして寒い。少したるんで、着替えはせずにそのまま下山を開始する。今回は平標から松手山方面に抜けるルートを取ったが、このルートは上越としてはかなり良く整備されていて、こんな天気なのに登ってくる人が多い。山頂付近ではやや疲れていたが下るにつれて徐々にペースアップ。標高を下げると視界も回復。最後の方は再び陽が射してきて、暑くなってきたころようやく平標登山口バス停に到着した。そこからバスで越後湯沢まで出て(荷物代はしっかり取られた)、鈍行で帰途についた。

・まとめ
有名なだけあって遡行感抜群の沢だった。滝やスラブに関しては、敢えて難しいルートを選ばなければ特に問題となる箇所はなく、メンバーがN以上であれば余裕で遡行できる。お楽しみ山行で行くにはもってこいで、充実した1日を約束してくれる。沢の特性上養成には不向き。あとは第2スラブ上でのルートファインディングと、それから土樽駅周辺でのルートファインディングが鍵。嘘です。

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