1年冬山 将棊頭山

山行No.37 1年冬山将棊頭山(2/22-23)                           
企画者:大城
面子:4*伊佐、L*大城 3*菊池 2H高梨 1EW成田、(F松尾→不参加)

昨年元旦の聖以来の企画。そして現役部員として最後の企画。久々の企画で多少不安はあったけれど、蓋を開けてみればこれ以上は望めないというほどの晴天の下での充実した山行となった。そしてハードだった。鬼企画の傾向は、一番初めの企画「男体・女峰」以来、ちっとも変わっていないなぁ。



2/21(月)
東京=小黒川渓谷キャンプ場ゲート手前▲0
レンタカーを借りて9:30本郷部室集合。ただし成田と松尾は部室ではやや都合が悪いとの事で、途中高井戸駅に寄って拾うことにしていた。部室をやや遅れて出発し約1hで高井戸着。環八に乗るところが分かりにくかった。1年2人は既に到着していたが、松尾が「体調が悪い」との事。熱があり下界を歩くだけでもしんどいらしく、不参加が決定。装備の受け渡しを行う。その後は中央道を順調に飛ばし、翌日の1半時頃目的地着。事前情報どおり道路改修工事をやっておりゲートまで入れない。案の定良い駐車スペースが見つからず「ここもちょっとマズいよなー」とかいうような会話を繰り返しつつ、最終的には畑の中の畦道をちょっと入ったところにあった一段高くなったスペースに半ば強引に駐車する。今日はもう遅いのでキャンプ場まで行かず、テントは車の脇に張る。菊池がテルモス忘れ。一応緊急連絡先にも伝える。結局就寝したときには2:30を回っていた。車が2日間無事だと良いが。

2/22(火) 快晴
▲0 6:33―7:16 Co1250 7:30―7:36桂小場―8:14ブドウの泉―8:20 Co1450 8:30―9:20 Co1650 9:30―10:20 Co1830 10:30―11:02(わかん装着)11:10―11:25 Co1920 11:35―12:15大樽避難小屋12:30―12:45(足が攣り休憩)12:50―13:25やっとこ平13:40―14:30 Co2380 14:40―15:10 Co2450 ▲1
気持ちの良い朝を迎える。雪は思いのほか少なく地面が一部露出している。人のいない工事現場を通り、キャンプ場、発電所を順に通過。トレースあり。ゲート付近にはある程度スペースがあり、改修工事が行われていなければここに車を止めれば良いだろう。このところ新雪は積もっていないようで、雪はわりあい締まっている。伊佐が早速遅い。「靴擦れになった」。信大ヒュッテ前で早めにたるみテーピングをするように言う。登山道に入ってもトレースは続いている。人はこの時期ほとんど入らないと思っていたのに意外。赤布赤テープも特に最初の方はたくさんある。「ブドウの泉」は水が出ていた。ちりめん坂は単なるだらだらの登り。雲ひとつない最高の天気で、時折鳥のピヨピヨいう声が聞こえなんとも長閑。Co1612を過ぎるとカラマツ帯となり、左手に目指す将棊頭の白いピークが見えてくる。伊佐は回復したようだが成田ちょっと遅いので成田の満ポリと伊佐の空ポリを交換。だんだんトレースが不明瞭になり野田場で完全に消える。尚、野田場は地形図上でガレマークのある部分であるが、崩壊が進んだためか道は地形図とは異なり北側を大きく巻くように付けられていた。トップはツボで進んでいたが、おそらくこの時点でワカンを付けるように指示した方が良かったと思われる。特に冬山ではトップとLでしんどさの感じ方が随分違うのでこういう判断が遅れがちになる。実際には馬返しの手前で装着させる。だんだんとラッセルっぽくなってくる。過去の記録ではこの時点で風がそこそこあるというものが見受けられたが今日は完全なる無風。暑い。大樽避難小屋手前からラッセルを菊池、高梨、伊佐の3人で交代しながらやってもらう。菊池も速い方だと思うが高梨のペースが信じがたい。伊佐はしんどそう。律速は成田。大樽避難小屋でちょっと長めにタルみこれからの方針を考える。ちなみに避難小屋は普通に使える。まだサイトをするには早すぎるが、今日中に胸突ノ頭に到達するのは厳しそうである。避難小屋にデポしサブ装でトレースを付けることも考えられるが、これより上部にサイト適地があるなら本ザックで出来るだけ高度を稼いでおいた方が明日ピークを打てる可能性が高まると考え、サイト適地を適宜確認しながら行くという条件のもと引き続き本ザックでラッセルを続けることにする。そもそも成田がトップより遅い状況ではトレースを延ばしたところであまり意味は無い。避難小屋を出た直後、伊佐が「足が攣った」。5分休憩したら回復した模様。Lが伊佐に代わってラッセル要員になる。信大ルートが左から合流すると本格的な急斜面。そんなに潜るわけではないがなかなかハードである。「胸突」とはよく言ったものだ。ただし緩急が激しいので、テントを張ろうと思えば結構どこでもサイト場は見つかる感じではあった。やっとこ平には展望マークを付けていたが、他の場所と同じく樹林に囲まれほとんど展望は無し。3人ラッセルは疲れるが、Co2300あたりでLが試しに空身でラッセルをしてみたところ本ザックと比較すると嘘のように楽であることが判明。というわけでトップが空身でしばらくラッセルし、後で下までザックを取りに戻るという方法に変更。面倒は面倒であるが、ラッセルの効率は良くなった。伊佐と成田はトップからは離れていたものの2人はSlowly but Steadily。サイト場は、一応地図上の「津島様」を目標にしていたが、そもそも津島様がどこか良く分からなかった。結局それより少し上部のCo2450あたりでサイトすることに決定。着いたときにはLを含め全員疲労困憊。ま、とにかくこれで明日ピークを打てる可能性はグッと高くなったわけである。サイト場からは将棊頭のピーク付近が望まれ、一方下方に目をやると伊那市外や南アの山々も木々の間から眺めることが出来た。ケータイも入る。
夕飯の伊勢海老風味のクリームシチューはなかなか美味。飯の後、成田の天図を見ると見事に高気圧に覆われている。予想高層天図も見ても、明日も今日同様晴れるとしか思えない(天図は結構よく書けていたと思う)。明日は予定どおりサブ装でピークを目指すことに決定。さらに欲を出し、明るくなり次第出発して稜線でご来光を拝むことを目標にする。さて、「八ヶ岳の一件」はまだ記憶に新しく、今回Lは差し入れのアルコールは控えておいたが、他のメンバーが持ってきていたので結局通常どおりの宴会開始。ただし、非常識な人(あくまで例えばであるが、ウイスキーを一人で400ml飲んだ挙句二日酔いになり翌日荷物を全て他人に持たせたうえ下山を余儀なくさせるというような人)はこの山行には参加しておらず、節度のある楽しい宴会となった。就寝前トイレに行くと、目に入ってきたのは美しい伊那の夜景。印象的。標高は高いのに夜は寒さを全く感じなかった。

2/23(水) 快晴
▲1 5:45―6:10稜線上6:30―6:44(わかん→アイゼン)6:52―7:38将棊頭山8:02―8:26(アイゼン→わかん)8:36―8:55サイト場9:35―10:15大樽避難小屋―10:26 Co1980 10:36―10:49馬返し―11:26 Co1700 11:36―12:02(わかん外す)12:07-12:17ブドウの泉―12:36桂小場―12:40信大ヒュッテ12:55―13:30駐車場所
4:30起床。ラーメン餅は22分で分配完了!素晴らしい…といいたいのだがやっぱり成田の食べるスピードはまだまだ。分配時にある程度量を減らすように決めておいた方が良いかもしれない。5:30撤収完了を目標にしていたが若干遅れた。日の出は6:27であるが、5:30を過ぎると早くも東の空が白み始める。加えて月が煌々と照っているので5:45には出発可能と判断しサイト場を発つ。少しの間昨日同様の急登が続くが、サブ装なので大した事はない。伊佐が遅れ気味で時々唸っている。「靴ずれが治っていないのだろうか」などと思いつつも稜線までは距離が短いので発破を掛けてやや強引に登らせる。稜線には6:10と日の出にはかなり余裕をもって着いた。本来のルートは胸突ノ頭からコルに向けてトラバるルートであったが、今回は稜線まで直接登った。ラッセルの量を考えるとこちらの方がむしろ良かったかもしれない。稜線に出たところがちょうど森林限界となっている。過去の記録では全て稜線上は強風であったが今日は「無風」。尚、伊佐に聞いたところ若干高山病っぽくなっていたらしい。急かしてごめんなさい。水を抜いてかつ水を意識的に取るようにしてもらう。ちょうど日の出が良く見える位置だったので太陽が南アルプスから姿を現すまでしばしタルむ。それにしても素晴らしい眺めだ。眺望について具体的に記述しだすときりがないが、およそ中部山岳地帯の山々は視界に入っているという贅沢さである。南アのシルエットから太陽が顔を出したところで記念撮影、その後道標のあるコルへ下り将棊頭へ向けて登り返す。すぐにアイゼンに履き替える。少し岩っぽいところもあったがこれがだめなら鳳凰三山もだめだろうというレベル。雪庇はほぼ存在せず稜線上にいるかぎり雪崩の心配も皆無であった。着実に前進しちょっと長めの1ピッチで将棊頭ピーク着。いやー、正直打てるとは思わなかった。ピークすらほぼ無風状態、ときどきそよ風が吹いてきて気持ちよい。時間は早いがテルモスを飲む。近くには西駒山荘や記念碑っぽい岩が見えており、稜線の先に目を向ければ駒ケ岳や宝剣、伊那前岳の勇姿が目に飛び込んでくる。ちなみに西駒山荘は本当に目と鼻の先で、5分もあれば着きそうであった。遭難記念碑までルートはとってあったがもう充分満足したので今回はカット。
下りは往路と全く同じルートをとる。アイゼンからわかんに履き替えるところが遅かった。テントを撤収し胸突八丁を高速で下る。その後もサクサク進みサイト場から約3ピッチで桂小場登山口に着いた。特筆すべきことはあまり思いつかないが、Lは頭痛がしており徐々に悪化。登山口で結構しんどかったので周りに言って長めにたるむことにすると菊池が常備薬を持っているとの事。「すぐ効く」ということで貰って飲んだところ、最後の林道を歩いている間に治ってしまった(驚)。道路改修工事で林道が通れるかがやや心配だったが、脇を普通に通過することが出来た。車も無事。あとは温泉「みはらしの湯」で汗を流し(南アルプスが一望できるなかなかのロケーション)、近くの定食屋で打ち上げて締めくくり。それでは安全運転で帰りましょう。


まとめ
1年冬山としては初めての将棊頭であったが、これといった危険箇所はなく、アイゼン歩行・わかん歩行・ラッセル・急登・岩場など色々経験させることができまた眺望も非常に良かったので、今後も出されてよい企画であると思う。中央アルプスだが北部ということもあり車ならあまり遠さを感じない(初日の就寝が遅かったがこれはそもそも東京を出たのが遅かったため)。天気が良すぎて冬山の気象は全く経験させることはできなかったが、こればかりはどうしようもないか。ラッセルは想定していたほどではなかったが、胸突八丁はかなりの急登でしんどく、「体力勝負の山」という印象であった。

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